令和4年1月1日以後に保存を開始する場合、スキャンデータのクラウド保存が認められるケースはかなり限定されます ~ 消費税[120]
消費税の記事を掲載します。
昨日の記事
「クラウド会計ソフトを使っていても、3万円以上のもので紙のレシートが発行されている取引については、レシートは残しておく必要があります。」
の記事の後段で
「ただし、2022年1月1日から電子帳簿保存法が改正されます。税務署長の事前承認制度が廃止されるなどスキャナ保存要件が緩和されます。一定の要件をみたせば、スキャナ保存した領収書データと仕訳を紐付けることで、消費税の仕入税額控除の要件をクリアできるものと考えています。」
と書きましたが
国税庁が7月16日に公表した「電子帳簿保存法Q&A(一問一答)令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~【スキャナ保存関係】」にその答えが記載されています。
次のとおりスキャンデータのクラウド保存はかなり限定されています
タイムスタンプに代えて
スキャンデータの訂正履歴を確認できるクラウドに保存する必要があります(問30)
つまり
国税関係書類についてスキャナ保存する場合には、書類に係る記録事項にタイムスタンプを付与することが要件として規定されています。
事業者が訂正削除履歴の残るまたは訂正削除できないシステムに保存する方法により一定の入力期限内に国税関係書類に係る記録事項を入力したことを確認することができる場合に、タイムスタンプの付与要件に代えることができます。
この訂正削除履歴の残る(あるいは訂正削除ができない)システムでタイムスタンプ付与の代替要件を満たすために、タイムスタンプが果たす機能である、ある時点以降変更を行っていないことの証明が必要となります。
つまり、事業者が合理的な方法でこの期間制限内に入力したことを証明する必要があります。
その方法として、たとえば、SaaS型のクラウドサービスが稼働するサーバ(自社システムによる時刻の改ざん可能性を排除したシステム)がNTPサーバ(ネットワーク上で現在時刻を配信するためのサーバ)と同期しており、かつ、スキャナデータが保存された時刻の記録及びその時刻が変更されていないことを確認できるなど、客観的にそのデータ保存の正確性を担保することができる場合などがスキャンデータのクラウド保存が認められます。
こうしたスキャナ保存の要件をみたさない保存があった場合は(問56)
スキャナ保存の要件を満たさず保存されている電磁的記録については、各税法上の保存書類としては取り扱われません。
スキャナ保存の要件を満たして保存が行われていない電磁的記録については、その電磁的記録は国税関係書類とはみなされないこととなります。
このような場合には、各税法に定める保存義務が履行されていないこととなります。仕入税額控除の否認や、青色申告の承認取消し等の対象となる可能性があります。
ただし、紙原本の保存がある場合は除かれます。
変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する(ピーター F.ドラッカー)
Every day is a new day!
夏の1日を元気にお過ごしください。
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「創業者のクラウド会計」
・火曜日は「消費税」
・水曜日は「消費税」
・木曜日は「経理・会計」
・金曜日は「贈与や相続・譲渡など資産税」
・土曜日は「創業者のクラウド会計」
・日曜日はテーマを決めずに書いています。
免責
ブログ記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令に基づき記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。