井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2020.12.09.Wed | 消費税

一部店舗用となっている「居住用賃貸建物」のうち共用部分の合理的区分のルールについて ~ 消費税[74]



消費税の記事を掲載します。


今回は


「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」に共通して使用される廊下や共用のエントランスなどの共用部分の合理的区分のルールについて



を紹介します。



たとえば

5階建ての居住用賃貸建物を購入しました。


この居住用賃貸建物は、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分とそれ以外の部分とに合理的に区分しています。


したがって、居住用賃貸部分に係る課税仕入れ等の税額は、仕入税額控除が制限されます。


「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」に共通して使用される廊下や共用のエントランスなどの共用部分については、次のように考えます。



合理的に区分しているとは



使用面積割合や使用面積に対する建設原価の割合など、その建物の実態に応じた合理的な基準により区分していることをいいます。

このため、共用部分について、これらの合理的な基準により「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」とに区分しているときは、その共有部分のうち居住用賃貸部分に区分された部分に係る課税仕入れ等の税額について、仕入税額控除が制限されます。



居住用賃貸建物とは



附属設備を含めて税抜価格が1,000万円以上の建物、具体的には高額特定資産または調整対象自己建設高額資産に該当するものをいいます。


居住用賃貸建物について合理的な区分を行った結果、居住用賃貸部分の税抜価額が1,000万円未満であったとしても、当該居住用賃貸部分については、仕入税額控除が制限されることになります。



居住用賃貸部分にのみに使用される廊下やエントランスなどを




「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」の使用面積割合で区分することは、合理的に区分しているとはいえません。




たとえば合理的区分のルールは次のように考えます




① 居住用賃貸建物の課税仕入れ等に係る消費税額:200万円


② 使用面積の内訳

・店舗(居住用賃貸以外の部分)の面積:200㎡

・居住用賃貸部分の面積:800㎡

・共通使用されるエントランスなどの共用部分の面積:100㎡


③ 仕入税額控除が制限される金額(居住用賃貸部分に係る課税仕入れ等の税額)

  200万円×(800㎡+80㎡/1,100㎡)=160万円


※ 共用部分100㎡を「居住用賃貸以外の部分」と「居住用賃貸部分」の面積比で按分

100㎡×(800㎡/(200㎡+800㎡))=80㎡



(出所:国税庁消費税質疑応答事例 仕入税額控除(その他)No20)





<参考>


消費税法施行令

第50条の2  仕入れに係る消費税額の控除の対象外となる居住用賃貸建物の範囲


「法別表第一第13号に掲げる住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分がある居住用賃貸建物について同項の規定の適用を受けることとなる事業者が、当該居住用賃貸建物をその構造及び設備の状況その他の状況により当該部分とそれ以外の部分とに合理的に区分しているときは、当該居住用賃貸部分に係る課税仕入れ等の税額についてのみ、法第30条第10項の規定を適用する。」




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