新しい公益信託税制における受給者に対する税制の取り扱い~ 公益信託[26]
公益信託の記事を掲載します。
公益信託財産から財産を受給した場合の税の取り扱い(受給者が個人または法人の場合)
を紹介します。
1 受給者が個人のケース
公益信託の信託財産から財産を受給する場合には
受託者(個人または法人)にかかわらず、その受給する財産が学資の支給等非課税所得に該当するものを除き、個人である受給者に対し所得税が課税されます。
一方、所得税法上、原則、相続、遺贈または個人からの贈与により取得する財産等については、所得税を課さないこととされています。
この趣旨は、これらの財産を取得した場合には、別途、その取得した者に対し相続税や贈与税が課されることを踏まえた二重課税排除からです。
<参考>
所得税法 第9条 非課税所得
「十五 学資に充てるため給付される金品及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」
「十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和25年法律第73号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)」
他方、受託者が個人である公益信託の信託財産から個人が財産の給付を受ける場合に「個人からの贈与により取得する財産」に該当し、上記の原則からは、所得税は課されず、贈与税の課税対象となります
しかし、令和6年度の税制改正において、公益信託から給付を受けた財産を贈与税の非課税財産の対象とする旨の相続税法の改正が行われています。
<参考>
相続税法第21条の3
(贈与税の非課税財産)
「一 法人からの贈与により取得した財産及び公益信託から給付を受けた財産」
併せて所得税法の整備が行われています
具体的には、所得税が非課税となる「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」の範囲から、「公益信託から給付を受けた財産に該当するもの」が除かれ、個人が公益信託から財産を受給する場合には、受託者の属性にかかわらず所得税が課税されます。
2 受給者が法人のケース
受給者が法人の場合は、受託者の属性(個人・法人)にかかわらず、無償による資産の譲受けに該当し、法人税が課税されます。
ただし、公益法人等が給付を受けた場合には非課税となります。
<参考>
法人税法第6条
(内国公益法人等の非収益事業所得等の非課税)
「内国法人である公益法人等又は人格のない社団等の各事業年度の所得のうち収益事業から生じた所得以外の所得については、前条の規定にかかわらず、各事業年度の所得に対する法人税を課さない。」
(出所:週刊税務通信NO3829 新公益法人・公益信託制度の概要とポイント)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター・F.ドラッカー)
大寒の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
トップ画像に写っている「太陽の塔」はわかりますか?
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