新公益信託制度に対する所得税法の取り扱いについて~ 公益信託[16]
公益信託の記事を掲載します。
新しい公益信託制度での「公益信託」に関する所得税の課税の取り扱いについて
を紹介します。
公益信託は、公益法人のような理事会、社員総会(社団)、評議員会(財団)、監事などの機関は必要ありません。
少人数でも、一人でも、社会貢献事業の篤志があれば、具体的な設計が可能な器(ツール)になると考えています。
一方、公益法人のルールを踏まえて、認可の基準・ガバナンスなど法定のルールが今後明らかになります。しかし、明らかになるのはまだ時間がかかるようです。
税制の方が先に改正されています。所得税法の課税関係はざっくりと次のようになります。
1 信託期間中の課税関係
公益信託と同様に、公益信託の信託財産につき生ずる所得は非課税とされます。
2 公益信託に財産を拠出した場合の課税関係
特定公益増進法人に対する寄附金や認定特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭と同様に委託者が公益信託に財産を拠出する場合には、寄付金控除の対象となります。
また、その拠出した財産が株式や不動産である場合には、受託者の主体の属性(個人・法人)にかかわらず、みなし譲渡課税の対象となります。
ただし、措置法40条は次のように改正されています。
公益法人等に対して金銭以外の財産を寄付した場合の譲渡所得等の非課税措置の寄付先の対象に公益信託の受託者が追加されています。
3 公益信託の信託財産から財産を受給した場合の課税関係
公益信託の信託財産から財産を受給する場合には、受託者の主体の属性(個人・法人)にかかわらず、その受給する財産が非課税所得に該当するものを除き、受給者に対して所得税が課税されます。
<参考>
公益信託に関する法律(令和6年法律第30号)の施行の日に施行されます
改正後の所得税法第9条非課税所得
十七
「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和25年法律第73号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含み、同法第21条の3第1項第1号(贈与税の非課税財産)に規定する公益信託から給付を受けた財産に該当するものを除く。)」
(出所:「改正税法のすべて令和6年版」 99頁)
[編集後記]
月曜日の消費税の記事はお休みしました。
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