現行「公益信託」税制上の優遇措置の取り扱いの根拠について ~ 公益信託[8]
公益信託の記事を掲載します。
個人が委託者(寄付者)の場合、税制上の優遇措置は次のとおりです
① 公益信託の信託財産の運用収益は非課税です。
② 個人が委託者・寄付者の場合、次のような(A・B)税制上の優遇措置があります。
A 認定特定公益信託の場合
個人が認定特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭は、特定寄付金として寄付金控除の適用を受けることができます。
B 特定公益信託の要件を満たす公益信託
生前に特定公益信託の要件を満たす公益信託を設定した方が死亡した場合、相続税計算におけるその信託に関する権利の価額をゼロとして取り扱い、相続税は非課税となります。
それぞれの根拠となる条文(公益信託法の改正前)は次のとおりです。
「①公益信託の信託財産の運用収益は非課税」の根拠は次のとおりです
所得税法第11条(公共法人等及び公益信託等に係る非課税)
「2 公益信託ニ関スル法律(大正11年法律第62号)第1条(公益信託)に規定する公益信託又は社債、株式等の振替に関する法律第2条第11項 (定義)に規定する加入者保護信託の信託財産につき生ずる所得(省略)については、所得税を課さない。」
「A 認定特定公益信託の場合」の取り扱いの根拠は次のとおりです
所得税法第78条(寄附金控除)
第1項
「居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合において、第1号に掲げる金額が第2号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の100分の40に相当する金額を超える場合には、当該100分の40に相当する金額)
二 2000円
第3項
「居住者が、特定公益信託(公益信託ニ関スル法律第1条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭は、前項に規定する特定寄附金とみなして第1項の規定を適用する。」
「B 特定公益信託の要件を満たす公益信託」の取り扱いの根拠は次のとおりです
租税特別措置法第70条
(国等に対して相続財産を贈与した場合等の相続税の非課税等)
「相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該取得した財産に属する金銭を第1項に規定する申告書の提出期限までに特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した場合には、当該支出により当該支出をした者又はその親族その他これらの者と相続税法第64条第1項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合を除き、当該金銭の額は、当該相続又は遺贈に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入しない。」
(参考:「公益信託リーフレット」 一般社団法人信託協会)
「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」
(ピーター F.ドラッカー)
夏至の1日、朗らかにお過ごしくださいね。
[編集後記]
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