井上寧(やすし)税理士事務所井上寧(やすし)税理士事務所

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2025.04.22.Tue | 消費税

一括比例配分方式の継続適用義務について ~ インボイス制度 消費税[668]




消費税の記事を掲載します






一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。課税売上割合に準ずる割合は適用できません






を紹介します。




一括比例配分方式の継続適用義務とは




① 一括比例配分方式を選択した場合、2年間(2課税期間)以上継続して適用しなければなりません。


② 2年間継続適用した後でなければ、個別対応方式へ変更することはできません。


③ この義務は、事業者が一括比例配分方式を選択した課税期間の初日から、その日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間に適用されます。




取り扱いのポイントは次の3つです




① 一括比例配分方式を採用する場合、特別な届出は不要です。選択後は2年間は継続して適用する必要があります。


③ 2年間経過後は、個別対応方式への変更が可能です。


③ 途中で課税売上割合が変動し、個別対応方式の方が有利になった場合でも、2年間は一括比例配分方式を継続しなければなりません。


注意点は次のとおりです




課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上となり、仕入税額控除の全額控除が認められる場合は、「一括比例配分方式を継続適用した」ものとみなされます。




つまり




一括比例配分方式から個別対応方式への変更(消費税法基本通達11-2-21)




「一括比例配分方式を適用した事業者は、法第30条第5項《仕入控除方式の変更》の規定により一括比例配分方式を2年間以上継続した後でなければ、個別対応方式に変更できないのであるが、一括比例配分方式を適用した課税期間の翌課税期間以後の課税期間における課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上となり、同条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用される場合も、一括比例配分方式を継続適用したこととなるのであるから留意する。」




<参考>




一括比例配分方式と個別対応方式の選択誤りにより、過大納付消費税額が発生した事例




1 税理士は、令和2年6月に依頼者の消費税申告について関与を開始した。令和4年6月に依頼者から、令和4年8月に所有する土地の譲渡が決まったため、令和5年6月期の消費税申告において、個別対応方式による消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書の提出を依頼された。


2 依頼者の課税売上高は恒常的に5億円超で、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの方法により行う必要があったが、令和5年6月期に消費税課税売上割合に準ずる割合の適用を受けるためには、令和4年6月期を個別対応方式で申告する必要があった。


3 しかし、税理士はこれを失念し、令和4年6月期を単年度では有利な一括比例配分方式で申告してしまった。


4 税理士は消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書を提出期限までに提出したが、令和4年6月期に一括比例配分方式を選択していたため、2年間の継続適用要件により、令和5年6月期が一括比例配分方式での申告となり、個別対応方式による消費税課税売上割合に準ずる割合を適用することができなくなってしまった。


5 税理士が依頼者へ報告したところ、これにより発生した過大納付消費税額について損害賠償請求を受けた。




(出所:㈱日税連保険サービス 税理士職業賠償責任保険事故事例の1)





「変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。」

(ピーター F.ドラッカー)

春の1日、朗らかにお過ごしくださいね。









[編集後記]


月に1度の料理教室に行ってきました。

つくったのは「とり肉の唐揚げ」「ひじきの煮もの」。トップ画像参照。

美味しかったです。

江口先生、前先生に丁寧に教えていただきました。ありがとうございます!





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