「毎年、こどもや孫に110万円の贈与をしている場合、贈与税の申告納付は必要ありません」~贈与税で誤りやすい事例⑪
日曜日は「贈与税で誤りやすい事例」を紹介しています。
今回は
「毎年、こどもや孫に110万円の贈与をしている場合、贈与税の申告納付は必要ありません」
贈与税で誤りやすい事例の11回目です。
こういうケースが多くあります
1年間(1月1日~12月31日)に110万円までの贈与は、贈与税が課税されません。したがって、「毎年、こどもや孫に110万円を贈与しているので、相続対策は大丈夫」と思っている方も多いと思われます。しかし、気をつけていただきたいポイントがあります。
生前贈与で気をつけていただきたい点は、次の5点です。
① 贈与契約書の作成
② 贈与内容の履行
③ 通帳、カード、証書および印鑑の管理
④ 受贈者による使用収益権の確保
⑤ 贈与税の申告納付
今回は「贈与税の申告納付」です。
贈与税がかかる場合(暦年課税の場合)
1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して贈与税がかかります。したがって、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりません。この場合、贈与税の申告は不要です。
ようするに
一暦年間の受贈額の合計額が110万円以下である場合※には、受贈者(こどもや孫)に贈与税は課税されないものとされています。贈与税の申告書の提出も不要です。
したがって、毎年、こどもや孫に110万円の贈与をしている場合、贈与税の申告と納付は必要ないわけです。
※ 相続時精算課税制度の適用を受ける場合を除きます。
しかし、実務上において課税上のトラブルを生じさせない取扱いとして
①贈与契約書の作成、②贈与内容の履行、③通帳、カード、証書および印鑑の管理、④受贈者による使用収益権の確保を実行したうえで、贈与税の申告納付をつうじて贈与の実績を対外的に明示するものとして、一年間に110万円を超える贈与を実施することを検討することも一方法です。
例えば、直系尊属から20歳以上の者111万円の贈与を受けた場合、贈与税は1,000円※です。あえて、贈与税の申告をして1,000円を納付することにより、贈与の事実をエビデンスとして残します。
※ 贈与税の計算(111万円-基礎控除110万円)×10%=1,000円
申告と納税
この場合には、財産をもらった人(こどもや孫)は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告と納付を行う必要があります。
はじめて贈与税の申告をするというのは、敷居が高いと思う方も多くいらっしゃるかも知れませんが、単純な贈与であれば、難しくありません。
親族間の贈与は、特別に気をつけなければならない点があります。
Every day is a new day!
GWの最終日。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
毎年こどもや孫に110万円を贈与するときに、気をつけておきたいこと
・⑥ 気をつけることは?
・⑦ 贈与契約書が必要です。
贈与税で誤りやすい事例
・① 自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?
・② 父親の土地に、子供の私が自宅を建てて住みます。問題はありますか?
・③ 父親の借地に、子供の私が自宅を建てました。何か問題は?
・④ 父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました。
「贈与税であやまりやすい事例」の記事は
http://www.y-itax.com/category/zoyo/
「マイホームの税金」に関する記事は
http://www.y-itax.com/category/kojin/myhome/
「住宅取得等資金の贈与の非課税」の誤りやすい事例を紹介しています。
親名義の住宅にこども負担で増築等リフォームした場合。
・「親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合」はこちら(11/26)
・「親名義の住宅に子の資金で増築等リフォームした場合、父親の譲渡所得は?」はこちら(12/3)
贈与を受けたが、家が完成しないケース
・「贈与は受けたが、家が完成しない(その1)?」はこちら(10/29)
・「贈与は受けたが、家が完成しない(その2)?」はこちら(1/14)
・「贈与は受けたが、家が完成しない(その3)?」はこちら(1/28)
「住宅取得等資金の贈与の非課税」で迷ってしまうケース
・「贈与は受けたが、住宅に住めない!非課税の適用は受けられますか?」はこちら(10/22)
・「贈与は受けたが、マンションは建築中。適用は受けられますか?」こちら(11/5)
・「住宅ローン控除との併用できますか?」はこちら(11/12)
・「土地取得に贈与資金を全額使いました。適用は受けられます?」はこちら(12/10)
・「非課税限度額700万円が平成31年4月から大きくなります」はこちら(12/17)
・「非課税と相続時精算課税と、両方を選択できます」はこちら(12/31)
・「中古住宅の取得とその住宅を省エネ住宅にするために親から資金贈与を受けました。どちらの贈与も非課税にしたい!」はこちら(1/7)
・「床面積基準があります。取得した家の床面積は大丈夫ですか?」はこちら(2/11)
・「マンションの引き渡しを受けていないと適用できません」はこちら(2/18)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に税理士からお伝えします」
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・日曜日は「贈与税であやまりやすい事例」