「交際費は年間800万円までが経費になります。公私混同になりやすい費目です」~経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑧
土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方として、経営者の方が会社の数字をざっくり理解して、経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。
今回は、販売費及び一般管理費のうち
「交際費は年間800万円までが経費になります。公私混同になりやすい費目です」
です。
会計上は交際費を費用として計上しますが、法人税法上の制約があります
たとえば、取引先の方と酒席をともにするのは、相手の人となりを理解する必要がありますし、さらに親しくなれば懇親を深める必要も出てきます。営業上、交際費は必要な経費です。
しかし、もしこれを際限なく認めると、極端ですが「税金を払うぐらいなら、全部飲み食いしよう」と考える会社が出てきます。そこで、税法上、交際費の損金算入を限定しているわけです。
交際費は税法上の取扱いに注意します
中小企業(資本金1億円以下)は、1年間800万円までは交際費支出額を経費にすることができます。
さらに、1人あたり5,000円の飲食費は、要件※を満たせば、この交際費の範囲に含めません。(まれだとは思いますが。もし交際費のうち接待飲食費が1,600万円を超える場合は、その半分が経費になります)。
※ 飲食の年月日、相手及び人数、金額及び店名などを記載した書類を保存している場合です。
税務上、交際費は勘定科目で判断しません
交際費とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、得意先など関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答などのために支出するもの」です。
経理処理上、例えば販売奨励費や福利厚生費などの名目で会社の帳簿に支出の記録をしていたとしても、税務上は交際費として取り扱います。
勘定科目に関係なく、接待などの行為の実質で判断しますので、他の科目に交際費に該当するものが含まれていることが税務調査などで明らかになったときは、トラブルが発生します。
また、交際費は公私混同になりやすい科目です
交際費は社長の個人的な飲み食いを計上するなど、公私混同になりやすい科目です。交際費の多い会社については、金融機関から問題視されやすいので注意です。赤字会社であれば、金融機関からさらにネガティブな評価を受けます。
資本金1,000万円以下の中小企業では
資本金1,000万円以下の会社では、その支出額の約97%が損金算入となっています(「平成26年度分の会社標本調査」)。
ということは、実態では、ほとんどの会社で交際費は年間800万円以下となっているということです。
通常の中小企業では、1年間で交際費は800万円までの支出であり、会計上は経費処理をして、税務上はその全額を損金算入しています。公私混同がなければ、なにも問題は生じませんし、他の費用と同じです。
“会計”で経営の本質が見えてきます。
「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことをおすすめします。
“会計”で気になる点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
土曜日は“会計”を紹介しています。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
・①「借入金の返済に必要なもうけはいくらですか?」こちら(2/24)
・②「決算書の全体像をイメージする」はこちら(3/3)
・③「売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう」はこちら(3/10)
・④「売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります」はこちら(3/17)
・⑤「会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意です」はこちら(3/24)
・⑥「粗利率ではなく粗利益(売上総利益)でみる」はこちら(3/31)
・⑦「販管費とは営業にかかった費用のことをいいます」はこちら(4/7)
「会計超理解ハンドブック(No1~No17)」
会計の勉強を始めた起業者の方に、会計をわかりやすく解説しています。気楽にお読みください。
・「会計の勉強を始めたが…」はこちら(10/28)
・「財務三表とは?」はこちら(11/4)
・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください」はこちら(11/11)
・「損益計算書は前期と比較する」はこちら(11/18)
・「貸借対照表は三つの箱で理解する!」はこちら(11/25)
・「貸借対照表は五つの箱で考える」はこちら(12/2)
・「貸借対照表で現金を増やす方法がわかる」はこちら(12/9)
・「キャッシュフロー計算書は資金繰り表です」はこちら(12/16)
・「減価償却費って何ですか?」はこちら(12/23)
・「利益は出ているけれど、黒字倒産はなぜ起こる」はこちら(12/30)
・「決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイント『純資産』」はこちら(1/6)
・「貸借対照表のチェックポイント『固定資産と純資産』」はこちら(1/13)
・「C/F計算書のチェックポイントは『営業キャッシュフロー』」はこちら(1/20)
・「貸借対照表は2期分ならべて、比べる」はこちら(1/27)
・「利益の増加とは、自力で資金調達していることと同じです」はこちら(2/3)
・「毎月、試算表を作成して活用する!」はこちら(2/10)
・「月次試算表から資金繰りを把握する方法」はこちら(2/17)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税についてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
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