販売費及び一般管理費(販管費)とは営業にかかった費用のことをいいます~経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑦
土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方として、経営者の方が会社の数字をざっくり理解して、経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。
今回は
「販売費及び一般管理費とは、営業にかかった費用のことをいいます」
です。
下図のとおり、営業利益を算出するため売上総利益から「販売費及び一般管理費」を差し引きます。
販売費及び一般管理費は、「販売管理費」さらに省略して「販管費」とも呼ばれます。
販管費は会社の販売・管理活動から生じた費用をいい、具体的には従業員給与、地代家賃、減価償却費等があります。(下図のとおり、出所:中小企業庁資料から)
販管費がいくらだったら適正かということは、業界・業種・企業の環境などにより相違します。中小企業でポイントとなるのは、販売費及び一般管理費のうち次のものです。
人件費です
多くの中小企業の場合、およそ半分が人件費ですし、人件費は通常年々増加します。
販売管理費に計上されている人件費は、役員報酬、給料手当、賞与、法定福利費、福利厚生費の合計です。そのうち役員報酬がポイントとなります。
ポイントになるのは役員報酬です
役員報酬のそのものの金額が、多い・少ないはあまり問題になることはありません。
会計の面からではなく、税務の視点から問題になる場合があります。
たとえば、次のようなことです。
損益計算書の「販売費及び一般管理費」の明細書では明らかになりませんが、法人税申告書に添付する勘定科目内訳書で、役員であれば誰にいくら支払われたかが確認できます。
利害関係者である銀行や税務署などは、各々の役員の報酬額をしっかりチェックしています。したがって、イレギュラーな報酬額の変更時期やイレギュラーな増減額に、注意が必要になります。あわせて、社長からの借入金(役員借入金)や社長への貸付金(役員貸付金)、社長あての賃借料などもチェックされています。
次に従業員の給料です
経営者として、3~5年かけての各期の給料額の比較はもちろんチェック項目です。
さらに、指標として、一人当たり売上高や一人当たり人件費といった一人当たりの数値は手持ちの資料から簡単に算出することができます。
法人税申告書に添付する法人事業概況説明書に従業員数や売上高(月別)を記載しています。そうした数字から、売上高や人件費を従業員数で割って、さらに過去の資料から経年の数値を算出することができます。
今後の人件費を検討するにあたって、これらの数値のご活用をおすすめします。
→ 「販管費のうちの人件費。このうちポイントになるのは役員報酬です」
→ 「販売費及び一般管理費の中、どういうものが人件費にあたるのか?」
→ 「販管費の特徴と考え方」
“会計”で経営の本質が見えてきます。
「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことをおすすめします。
“会計”で気になる点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
土曜日は“会計”を紹介しています。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
・①「借入金の返済に必要なもうけはいくらですか?」こちら(2/24)
・②「決算書の全体像をイメージする」はこちら(3/3)
・③「売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう」はこちら(3/10)
・④「売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります」はこちら(3/17)
・⑤「会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意です」はこちら(3/24)
・⑥「粗利率ではなく粗利益(売上総利益)でみる」はこちら(3/31)
「会計超理解ハンドブック(No1~No17)」
会計の勉強を始めた起業者の方に、会計をわかりやすく解説しています。気楽にお読みください。
・「会計の勉強を始めたが…」はこちら(10/28)
・「財務三表とは?」はこちら(11/4)
・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください」はこちら(11/11)
・「損益計算書は前期と比較する」はこちら(11/18)
・「貸借対照表は三つの箱で理解する!」はこちら(11/25)
・「貸借対照表は五つの箱で考える」はこちら(12/2)
・「貸借対照表で現金を増やす方法がわかる」はこちら(12/9)
・「キャッシュフロー計算書は資金繰り表です」はこちら(12/16)
・「減価償却費って何ですか?」はこちら(12/23)
・「利益は出ているけれど、黒字倒産はなぜ起こる」はこちら(12/30)
・「決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイント『純資産』」はこちら(1/6)
・「貸借対照表のチェックポイント『固定資産と純資産』」はこちら(1/13)
・「C/F計算書のチェックポイントは『営業キャッシュフロー』」はこちら(1/20)
・「貸借対照表は2期分ならべて、比べる」はこちら(1/27)
・「利益の増加とは、自力で資金調達していることと同じです」はこちら(2/3)
・「毎月、試算表を作成して活用する!」はこちら(2/10)
・「月次試算表から資金繰りを把握する方法」はこちら(2/17)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
・水曜日は「事業承継・税理士の視点」
・金曜日は「相続税についてわかりやすく!」
・土曜日は「経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方」
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