「原価率や粗利率ではなく粗利益(売上総利益)でみる」~経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方⑥
土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方として、経営者の方が会社の数字をざっくり理解して、融資や経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。
今回は
「原価率や粗利率ではなく粗利益(売上総利益)でみる」
です。
売上総利益とは、俗に言う「粗利」です。
下図参照。売上から仕入をひいたものです。売上も仕入も、どちらも相手があるため、市場からかけ離れた価格をつけることができません。
したがって、同業種であればほとんど同じ粗利率になります。(下図参照)
余談ですが、売上総利益が赤字の場合は「売上総損失」といいます。つくって売っても損失が発生するという状態です。
本業の粗利を継続して確保していくということが重要です。
会計では、多くの「〇〇率」という方法を使って分析されることがありますが、粗利率ではなく「粗利益」が肝心です。
この点で示唆を与えている立ち食いフレンチ「俺のフレンチ」があります。
(出所:以下週刊ダイヤモンド3/3号)
ポイントは「原価率(利益率)ではなく粗利益(売上総利益)を見る」です。
このために、次のような考え方をうみだして店を経営しています。
① 「立ち形式」であれば、「座り形式」の2倍以上の座席数にできる。
② 立ち形式であれば、座り形式では実現困難な回転数を想定できる。
③ 多い座席数で顧客の回転数を上げられたら、フードとドリンクの原価率を上げても採算がとれる。
こうした新たな考え方により、飲食業で原価率を上げても(利益率を下げても)相当の粗利益を確保しようという考え方です。
(たとえば下図を参考)
昨年「俺のフレンチ」の銀座店で私は食事をしました。オペレーションは上手で、美味しい料理を味わい、楽しい時間を過ごすことができました(ただし、立ち形式ではなかったですが)。
どの業界でもどの業種でも、取り組み方や組み合わせを考え尽くせば、新しいビジネスモデルを作り出せるという知恵を感じさせる経営です。
“会計”で経営の本質が見えてきます。
「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことをおすすめします。
“会計”で気になる点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。
Every day is a new day!
みなさん。今日も春の1日を元気にお過ごしください。
土曜日は“会計”を紹介しています。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
・①「借入金の返済に必要なもうけはいくらですか?」こちら(2/24)
・②「決算書の全体像をイメージする」はこちら(3/3)
・③「売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう」はこちら(3/10)
・④「売上総利益は率をチェックしましょう。大切なことが分かります」はこちら(3/17)
・⑤「会計では売上原価と在庫はセットで考えます。在庫は要注意です」はこちら(3/24)
「会計超理解ハンドブック(No1~No17)」
会計の勉強を始めた起業者の方に、会計をわかりやすく解説しています。気楽にお読みください。
・「会計の勉強を始めたが…」はこちら(10/28)
・「財務三表とは?」はこちら(11/4)
・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください」はこちら(11/11)
・「損益計算書は前期と比較する」はこちら(11/18)
・「貸借対照表は三つの箱で理解する!」はこちら(11/25)
・「貸借対照表は五つの箱で考える」はこちら(12/2)
・「貸借対照表で現金を増やす方法がわかる」はこちら(12/9)
・「キャッシュフロー計算書は資金繰り表です」はこちら(12/16)
・「減価償却費って何ですか?」はこちら(12/23)
・「利益は出ているけれど、黒字倒産はなぜ起こる」はこちら(12/30)
・「決算書はどう読むか?貸借対照表のチェックポイント『純資産』」はこちら(1/6)
・「貸借対照表のチェックポイント『固定資産と純資産』」はこちら(1/13)
・「C/F計算書のチェックポイントは『営業キャッシュフロー』」はこちら(1/20)
・「貸借対照表は2期分ならべて、比べる」はこちら(1/27)
・「利益の増加とは、自力で資金調達していることと同じです」はこちら(2/3)
・「毎月、試算表を作成して活用する!」はこちら(2/10)
・「月次試算表から資金繰りを把握する方法」はこちら(2/17)
ブログは曜日により、次のようにテーマを決めて書いています。
・月曜日は「開業の基礎知識~初めて開業する方に、税理士からお伝えします」
・火・木曜日は「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」
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