「同族会社に賃貸している土地の贈与を受けました。土地の無償返還に関する届出書を提出していますが、宅地の評価は?」~贈与税で誤りやすい事例⑤
日曜日は「贈与税で誤りやすい事例」を紹介しています。
今回は
「同族会社に賃貸している土地の贈与を受けました。土地の無償返還に関する届出書を提出していますが、宅地の評価は?」
です。
Q 具体例
父親Aは、借地権を設定し同族会社X(株)に土地を賃貸しています。借地権設定時にAとX(株)との連名による無償返還届出書を税務署に提出しています(地代年額は50万円です)。Aは息子Bにこの土地を贈与しました。
息子Bはこの土地の自用地としての価額3,500万円を贈与税の評価額として、申告しました。
(下図参照)
A 贈与税の評価額は3,500万円×80/100=2,800万円です。
考え方は次のとおりです。
① 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の土地の評価は、借地権部分として自用地の20%を控除して評価します。
② ただし、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合で、地代の支払いがないような使用貸借であるときは、自用地としての価額によって評価します
<参考>
借地権通達というものがあります。対象となるのは親族間、同族会社とその役員等に想定される特別な賃貸借契約について定められたものです。
今回の取扱いの根拠は、次の取扱いです。
(土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の貸宅地の評価)
「8 借地権が設定されている土地について、無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。
(注)使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する」
親族間の贈与は、特別に注意しなければならない点があります。
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みなさん、今日も春の1日を元気にお過ごしください。
贈与税で誤りやすい事例
・①「自宅の贈与を受け、その後離婚。特例の適用は受けられますか?」はこちら(2/25)
・②「父親の土地に子供の私が自宅を建てて住もうと思っています。」はこちら(3/4)
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・④「父親が借地している土地の底地を、息子の私が買い取りました」はこちら(3/18)
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贈与を受けたが、家が完成しないケース
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親名義の住宅にこども負担で増築等リフォームした場合。
・「親名義の住宅を子の資金で増築等リフォームした場合」はこちら(11/26)
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