相続した実家が「空き家」だった場合、不動産売却時には三つの優遇制度があります。
金曜日は、相続税をわかりやすく紹介しています。
相続後、空き家になった実家をどうするか?という問題をお持ちの方は多いと思います。
現在はトラブルとなっていないが、相続した実家が空き家ということにより今後リスクが顕在化する可能性があります。
今回は
「相続した実家が空き家だった場合、不動産売却時には三つの優遇制度があります」
です。
全国の空き家が増え続けている
2013年で全国の空き家の数は820万戸。空き家率は約14%です。しかし「既存住宅の除却や、住宅用途以外への有効活用が進まなければ、20年後の2033年には、空き家は2,167万戸で、空き家率は30.4%に倍増する」※
※ 野村総合研究所の試算
「空き家」を相続した場合の問題点は次のとおりです
□ 居住できない
現在住んでいる家を売却等して、居所を替えることができる方は少ないです。
□ 小規模宅地等の減額特例の可否
独居の親が亡くなった場合は、持ち家がなしの別居親族(「家なき子」)のみが減額特例を受けることができます。しかし、特例を受けることができる場合は限られています。
□ 物納
物納は、延納でも納付できない場合で、延納の不足分を不動産で納付というものです。物納の条件がそろうことは難しいです。
□ 放置
特定空き家に認定されると、固定資産税6倍、都市計画税3倍となり急激に負担が増えます。
□ 売却
人の住める家ではなくなっていたりするなど、そのためのリフォーム費用や、または更地にするための費用がかかります。
□ 賃貸
すぐに住めない家は家賃が安くても借り手がなかなかありません。
こうした問題点の中で、税制度として有利なケースは売却です。
相続した不動産を売却する場合に、受けられる優遇制度が三つあります。
検討されてはいかがでしょうか。
① 長期譲渡所得
譲渡した年の1月1日時点でなくなった人(被相続人)による所有期間が5年超の場合、税率が20.315%(所得税と住民税)です。短期譲渡所得(税率39.63%)と比較して有利です。
② 取得費加算の特例
相続開始から3年10カ月以内に売却する場合、売却した不動産に対応する相続税を譲渡益から控除できます。
③ 空き家売却3,000万円の特別控除
昭和56年5月31日以前に建築された家屋等を譲渡した場合に、譲渡益から3,000万円を特別控除できます。
次回、これらの相続した不動産売却時の優遇制度を紹介します。
相続税に関することで気になることがあれば、お気軽に(電話やメールで)ご相談ください。
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