「売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう」~経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方③
土曜日は、経営者にとって必要な“会計”を紹介します。
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方として、経営者の方が会社の数字を正確に理解して、融資や経営に活かせる会計の考え方を紹介していきます。
今回は
「売上高はどう読むか?3~5年程度の推移の中で判断しましょう」
です。
損益計算書では、最初にきます「売上高」をどうみていくかです。「売上高」の意味は“会計”を知らなくてもわかります。
しかし、売上高は単年度の全体額を見ても何もわかりません。
売上高などを含む損益計算書をチェックする上で、重要なことは「比較」という視点をもつことです。
以前、損益計算書で最も重要なチェックポイントは、売上高と営業利益が前期と比べてどれだけ伸びたかとお話ししました。
もう少し比較の期間を延ばして「当期を含む3年~5年」の売上高の推移を見ることをおすすめします。
たとえばA社の2017年の売上高333百万円で、前年売上高の▲5%減少となったとします。
しかし、A社の売上高の過去3年の推移が次のようなものであれば、一時的な原因としていくぶん楽観的に考えてもよいかもしれません。
2014年 330百万円
2015年 340百万円
2016年 350百万円
一方、B社の売上高の過去3年の推移が次のようなものであれば、2017年の売上高が先の例と同じ333百万円で、前年売上高の▲5%減少となったとしても、B社は事態を深刻に考える必要があります。
売上が下がり続けており、じり貧です。現在、利益が出ていて黒字でも、今後、赤字にならないか?という検討が必要になります。
2014年 360百万円
2015年 350百万円
2016年 340百万円
A社は増収傾向で、当期に売上高が減収になったとしても、経費を減らせば利益は出せます。一方、B社は減収(じり貧)傾向の中で、当期も売上高が減収になった場合、経費を削ってもなかなか厳しい状況と判断せざる得なくなります。B社は抜本的な見直しを考える必要があることになります。
このように
当期の売上高をみる場合に、3~5年の推移と一緒に比較されてはいかかでしょうか。
会計の数字から、事業の本質がみえてきます。
経営者には、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」こととおすすめします。
“会計”で気になる点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。初回無料です。
Every day is a new day!
みなさん!今日も春の1日を元気にお過ごしください。
土曜日は“会計”を紹介しています
経営者目線で考える中小企業の決算書の読み方・活かし方
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