そもそも相続と事業承継の相違は何か?いま、なぜ「事業承継」なのでしょうか?~事業承継・税理士の視点①
水曜日は、事業承継・税理士の視点から「事業承継」を紹介していきます。今回は初回です。
まず「相続」と「事業承継」とはそもそも何が違うのか?
「事業承継」という言葉に定まった定義があるわけではありませんが、次のように「相続」と対比して考えればわかりやすいです。
「相続」とは
人の死亡によってその死亡した人(「被相続人」という。)に属していた財産上の権利義務を、その死亡した人と配偶関係または親族関係にある人(「相続人」という。)が、包括的に承継することです。
① 発生原因 人の死亡
② 発生時期 死亡によって開始
③ 承継者 死亡した者の親族(相続権を有する者)
④ 対象 被相続人の財産に属した一切の権利義務(例えば、現金預金、不動産や借入金など)
「事業承継」とは
個人・法人を問わず資産を引き継ぐだけではなく、承継者が事業経営を引き継ぐことをいいます。経営者の死亡によって顕在化することがわかり易いですが、必ずしも死亡をともなうものではなく、先代経営者が意思決定により実行することをいいます。
① 発生原因 経営者の意思
② 発生時期 明確な時期はない
③ 承継者 法律で定まっていない
④ 対象 経営の承継と資産の承継※
※ 「経営の承継」とは、後継者や従業員の人に関する承継と情報・知的資産の承継をいいます。一方、「資産の承継」とは自社株式や土地・現預金の承継をいいます。
事業承継への関心の高まりについて
中小企業経営者のうち60歳以上の割合が約54%にのぼり、今後10年間で多くの経営者が確実に引退期を向かえます。そうしたことによる社会的、経済的な損失の影響が顕在化しつつあります。
一方で、次のような超高齢化社会や少子化社会による「事業承継」への社会的変化が指摘されています。
「…また、(子どもが)事業をつがないことも多い。業績が良くそれなりの規模の会社でも後継者がいない事例も増えている。だからこそ家業を切り盛りする親子の活躍がテレビで取りあげられるのだ。さらに後継者がいない中小企業は、M&Aで第三者も売れる会社に育てあげること、あるいは自立できる子どもを育て上げ会社の廃業を選択肢にできること、これが現在求められる本当の意味での事業承継対策だ。」
(出所:「相続・事業承継業務をクリエイティブにする方法」、白井一馬)
事業承継は従来の「家業を引き継ぐ」から、M&Aや事業譲渡など多様な方法や対策を考える時代です。今回から水曜日は、少子高齢化などの社会的な変化を凝視しながら、事業承継について対策や予測を税理士の視点から考えていきたいと思います。
気になるケースがある場合は、お気軽にご相談ください。
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水曜日は、「同族会社とその役員の手引き」などの税金(法人)を紹介しています。あてはまる事例を参考にしてくださいね。
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