貸借対照表のチェックポイント「固定資産と純資産(自己資本)」~会計の勉強を始めた起業者の方に“会計超理解ハンドブック”
土曜日は、起業者にとって必要な“会計”を紹介しています。
今回は、決算書はどう読むか?
貸借対照表のチェックポイント「固定資産と純資産(自己資本)」です。
企業の財政状態を表す、貸借対照表の構造は下図のとおりでした。
「貸借対照表は五つの箱で考える!」はこちら(12/02)
貸借対照表では「固定資産と純資産(自己資本)のバランス」に注目します。
どういうことかと申しますと、固定資産と純資産(自己資本)のバランスを見て、土地や建物など現金に戻しにくい資産がどれだけ返済しなくてもよいお金(自己資本)で賄われているかを検討します。
① 固定資産 < 純資産(自己資本)
下図Aの箱図のようになっていれば、会社としては安泰です。固定資産を全て純資産で賄っている状態です。(こういう会社は多くありません)
② 固定資産 < 固定負債+純資産(自己資本)
下図Bの箱図はどうでしょうか?固定資産を固定負債と純資産(自己資本)でまかっている状態です。比較的、安心できる状態です。
固定資産が、純資産(自己資本)だけで賄えていなくても、純資産(自己資本)と長期にわたって返済すればよい固定負債で賄われていれば、安全と判断します。
③ 固定資産 > 固定負債+純資産(自己資本)
下図Cの箱図はどうでしょうか?あまり安全ではない状態です。1年以内に返済しなくてはならない流動負債の一部が、固定資産を賄っています。将来は土地や建物を売却してその流動負債の返済に充てなければならない危険性があります。
こうした固定資産と純資産のバランスを考えるための、貸借対照表の指標を固定比率といいます。起業者の経営判断に役立つ指標で、起業者が押さえておくべきものです。
固定資産 ÷ 純資産 × 100= 固定比率(%)
または
固定資産 ÷(純資産+固定負債)× 100=固定(長期)適合率(%)
「固定比率は100%以内が理想、120%程度なら健全範囲、200%以上は危険」といわれています。(「財務3表一体理解法」:國貞克則)
工場や機械装置など固定資産を比較的多く所有する製造業などの業種と小売業やサービス業などの業種では、大きく相違します。同業種内または自社の経年比較で使用されてはどうでしょうか?
決算書を読む場合に「〇〇比率は」たくさん出てきますが、やはりポイントになるのは純資産(自己資本)です。なぜならば、毎期の利益が貯まる貯蔵庫が純資産(自己資本)です。まずはそのボリューム(総量)を蓄積することが大切だと考えます。
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起業者にとって“会計”を分かりやすく解説していきます。
起業者には、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことは必須です。そのためには、利益や売上高など会社の成績をあらわす“会計”と、お金をどのように使うかを判断するための物差しである“ファイナンス”の要点を、ざっくりと押さえておく必要があります。
土曜日は、会計の勉強を始めた起業者の方に“会計超理解ハンドブック”として会計をわかりやすく解説しています。気楽にお読みください。
・「会計の勉強を始めたが…」はこちら(10/28)
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・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください」はこちら(11/11)
・「損益計算書は前期と比較する」はこちら(11/18)
・「貸借対照表は三つの箱で理解する!」はこちら(11/25)
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・「貸借対照表で現金を増やす方法がわかる」はこちら(12/9)
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・「利益は出ているけれど、黒字倒産はなぜ起こる」はこちら(12/30)
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