会社が、社長から低い価額で土地を買うと税金の問題が発生します。「土地の売買編③」
水曜日は、「同族会社とその役員との取引」について税務上の問題点となるケースを取りあげて紹介しています。12回目です。
時価より低い価額で買い取ると、ざっくりと、次ぎのような税金の問題が発生します。
土地を売却した社長は、土地の売買価額ではなく時価で売ったものとみなされて所得税(譲渡所得となります)が課税されます。
土地を購入した会社は、実際の購入金額と時価との差額が益金(収益)とされて法人税が課税されます。
ダブルで問題が発生します。注意してください。
土地を売却した社長の税金は、「みなし譲渡」というルールに注意です。
個人が、法人にその所有する資産を時価よりも低い価額で譲渡した場合は、その譲渡価額が時価の2分の1未満のときは、時価により譲渡したものとみなすというルールが、所得税法にあります。
この「みなし譲渡」との規定により、社長が時価の2分の1未満で、会社にその所有する土地を売却すれば、あくまでも時価で売却したものとみなされて、所得税が課税されてしまいます。
では、2分の1以上の金額であれば、何でもOKか?というとそうではありません。次のルールにより課税が行われるリスクがあります。
「同族会社等の行為又は計算の否認」というルールがあります
同族会社等に対する低額譲渡
所得税法第157条(同族会社等の行為又は計算の否認)の規定に該当する場合には、税務署長の認めるところによって、譲渡資産の時価に相当する金額により譲渡所得の金額を計算が行われることがあります。
したがって、2分の1以上で売買を行ったとしても、上記のルールで、結果として時価で取引が行われたものとして、課税されることになります。
土地を購入した会社の税金は
会社が低額な金額により土地を購入した場合には、その差額が、法人税法上は益金の額に算入されます。貸借対照表に計上される土地は、その差額を加えて時価で計上されます。
仕訳で考えますと、次のようになります。
土 地 〇〇〇 / 受 贈 益 〇〇〇
固定資産に計上 益金に計上
加えて、株主間で贈与税の課税問題が発生することがあります。
そうなると、トラブルとはもはや言えません。“惨事”という事態になります。
次回1/3(水)は、「会社が役員から高い価額で土地を買うと?」をします。社長と会社の税金を考えます。
会社と役員の取引には、思わぬところで税務上のリスクが発生することがあります。
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水曜日は、「同族会社とその役員の手引き」を紹介しています。
次のような順序で解説してきました。あてはまる事例を参考にしてくださいね。
同族関係者の土地売買の税務ルール
・「会社が社長から土地を買う。社長と会社の税金はどうなりますか?」はこちら(12/20)
・「会社が社長から土地を買う。その時の時価をどう算定するか」はこちら(12/13)
同族関係者間の建物貸借の税務ルール
・「会社が社長から建物を借りる」はこちら(10/11)
・「会社が社長から建物を借りる、社長の税金」はこちら(10/18)
・「社長が会社から建物を借りる、家賃のルール」はこちら(10/25)
・「社長が会社から建物を借りる、低額家賃の場合」はこちら(11/1)
同族関係者間の金銭貸借の税務ルール
・「会社が社長からお金を借りる」はこちら(11/8)
・「会社が社長からお金を借りる、高金利の場合」はこちら(11/15)
・「会社が社長からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(11/22)
・「社長が会社からお金を借りる」はこちら(11/29)
・「社長が会社からお金を借りる、無利息の場合」はこちら(12/6)
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