減価償却費って何ですか?~会計の勉強を始めた起業者の方に“会計超理解ハンドブック”⑨
土曜日は、起業者にとって必要な“会計”を紹介しています。
前回はキャッシュフロー計算書を紹介しました。今回はそのキャッシュフローと関係がある減価償却費を紹介します。
「減価償却費」とは、実際にキャッシュがでていかないお金です。
企業が長期間にわたって使用する建物や機械装置などの資産は、購入した費用を何年かに分けて計上するルールがあります。
例えば、ある年に1億円の設備投資をして自社ビルを建てた場合に、当然、その分だけキャッシュが減少します。
しかし、これを5年間で減価償却する場合には、費用として5年間にわたって2,000万円ずつ計上することになります。このときに、毎期計上される2,000万円の費用を「減価償却費」といいます。
つまり、実際には現金が出ていかなくても、減価償却費として費用計上されることになります。
「減価償却費」によって損益計算書とキャッシュフロー計算書に違いがでます。
介護事業をしている会社を例にしますと、たとえば、ある事業年度の売上が5,000万円で、その介護事業での人件費(給与)が2,000万円、手元に残った現金が3,000万円だったとします。
下図の右側のキャッシュフロー計算書では、実際の手元現金は3,000万円がそのまま表示されます。
しかし、減価償却費2,000万円を計上すると、下図の左側の損益計算書では、その分利益が減少します。当期利益は1,000万円になります。
(出所:「一生モノのファイナンス入門」朝倉智也、図を修正)
従って、減価償却費により利益と現金(キャッシュフロー)とは一致しません。
減価償却の償却年数が重要になります。
減価償却の年数を長くすることにより、損益計算書における1年間の減価償却費をすくなくすることができます。その分、次のように利益を増加させることができます。
次のようになります。
減価償却費 ↓ ⇒ 当期利益↑
しかし、キャッシュフロー計算書ではそういうことはできません。自社ビルを購入すればその設備投資額1億円はマイナスの現金支出が記載されます。
損益計算書の利益だけ見ても問題がでてきます。あわせて、キャッシュフロー計算書(資金繰り表)を見ることが大切です。
会計で気になる点や疑問点があれば、お気軽にご相談ください。初回無料です。
起業者にとって“会計”を分かりやすく解説していきます。
起業者には、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする」ことは必須です。そのためには、利益や売上高など会社の成績をあらわす“会計”と、お金をどのように使うかを判断するための物差しである“ファイナンス”の要点を、ざっくりと押さえておく必要があります。
土曜日は、「会計の勉強を始めた起業者の方に“会計超理解ハンドブック”」
わかりやすく解説していますので、週末の空いた時間に気楽にお読みください。
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・「損益計算書は5つの“利益”だけ覚えてください」はこちら(11/11)
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