「マーケティングは適切に実施せよ!」ヘルスケアサービス(介護保険外事業)創出の基本的戦略NO4
日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門マネジャーである志水武史氏のお話をお伝えします。11回目です。
大阪健康寿命延伸産業創出プラットホーム(略称「OKJP」)の「新規ビジネスプラン創出研究会」に参加しました。そこで同氏が示された点で、私が重要だと考えたことを以下に述べます。
前回の「外部事業者の商品・サービスと連携せよ!」に続き、ヘルスケアサービス創出の基本的戦略の第4番目を紹介します。
「マーケティングは適切に実施せよ!」です。次のような考え方です。
志水氏は、
「サービス料金を支払ってくれる『顧客』を明確化した上で、顧客がサービス利用を通じて『課題解消(疾病等のマイナスの解消)』を図りたいのか、『付加価値創出(体力向上等のプラスの価値創出)』を図りたいのか、顧客のニーズを適切に把握することが重要になります」
「科学的に根拠のある『正しい』サービスであっても、必ずしも顧客に受け入れられるとは限りません」と指摘しています。
具体的には、「サービスの『機能的価値』だけでなく、『情緒的価値(利用者の情動に訴える価値)』を示すことも重要」です。(上図を参照)
「代表的な成功事例としては、ライザップや各種エステ・美容サービスの広告等」を紹介されています。
例えば、現在急成長しているライザップの利用者の顕在的なニーズは「健康になりたい。少し体が気になりだした。強くなりたい」ですが、本質的・潜在的なニーズは「モテたい。キレイになりたい」であり、そのような「情緒的価値(利用者の情動に訴える価値)」にどう訴求するかがポイントになるということです。
マッキャンヘルスコミュニケーションズ 西根英一氏は、
「なぜライザップは成功したのか?」を次のように紹介されています(事業構想2016年8月号)。
「ライザップはまず、『美への憧れ』という促進焦点に集中することで、女性への訴求を強化しました。そして、その市場で優先権を獲得した後、森永卓郎さんなどを起用し、中高年の男性をターゲットに、『肥満を避けたい』という予防焦点にシフトしたのです」
「ターゲッティングとは、『ターゲットを絞ること』ではなく『複数のターゲットに優先順位を付けること』です。ライザップは、メリハリのあるプロモーションで消費者ニーズをつかみました」
「国の政策で言うと、厚生労働省の施策は、主にヘルスプロモーション(健康増進活動)を目的としたものであり、『病気を回避する』という予防焦点が中心。一方、経済産業省の施策は、ヘルスケアビジネスを目的としたものであり、『健康に接近する』という促進焦点が中心です。自社の事業がどちらの施策に位置づけられるのかという点も、マーケティング戦略を考える手がかりになります」
「医療専門職にとっての『正しいもの』が、消費者にとって『いいもの』であるとは限りません。消費者の選好に即した、適切なマーケティング戦略が求められます」
次回11/14(火)は、「サービスの差別化・高付加価値化を図れ!」ヘルスケアサービス(介護保険外事業)創出の基本的戦略NO5をご紹介します。
火・木曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ゚編」として記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしています。
・「外部事業者の商品・サービスと連携せよ!」はこちら(11/7)
・「サービス提供分野を拡大せよ!」はこちら(11/2)
・「介護保険を活用せよ!」はこちら(10/31)
・「ヘルスケアサービス事業は単品のサービスとしての差別化、収益化が困難。外部との連携が重要な鍵」はこちら(10/26)
・「ヘルスケアサービスでマネタイズ゙ができている先駆的事業モデル~(株)FiNCや健康年齢少額短期保険(株)~ビジネスプランの基本的な考え方」はこちら(10/24)
・「グレーゾーン解消制度の活用!ヘルスケアサービス事業成功に向けて」はこちら(10/19)
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