ヘルスケアサービス事業の創出が難しい理由「介護保険外サービス(ヘルスケア業界)の今とビジネスプランの基本的な考え方(志水武史氏)」
日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門マネジャーである志水武史氏のお話をお伝えします。3回目です。
大阪健康寿命延伸産業創出プラットホーム(略称「OKJP」)の「新規ビジネスプラン創出研究会」に参加しました。そこで同氏が示された点で、私が重要だと考えたことを以下に述べます。
ヘルスケア産業の現状についてまとめると、次のようになります。
① ヘルスケアサービス市場は政府主導で産業創出が進められています。
② サプリメントや美容関連商品等の「モノ」については一定の市場が形成されています。「サービス」の市場自体は黎明期の段階にあります(市場統計等も存在していません)。
③ もともと存在していたフィットネス等の事業者を除いて、全国の顧客を対象とするような大規模ヘルスケアサービス事業者はあまり創出されていません(地域におけるスモールビジネス、ソーシャルビジネス的な事業者が多い状況です)。
これらの現状を踏まえて、志水氏は「ヘルスケアサービス事業の創出が難しい理由」を6つ上げています。
課題1
→ 公的医療・介護保険サービスとの価格差があります(公的保険サービスであれば70%オフになります)。
課題2
→ 健康的な生活習慣の実施やヘルスケアサービス利用に向けた個人の行動変容の難しさがあります(言い換えますと、健康無関心層をどう巻き込むかが課題になります)。
課題3
→ 診療・介護報酬対象となる医療・介護サービス(医師の診療行為等)との線引きの難しさ(グレーゾ-ンの存在、医療領域に入り込むと医療関係者等から反発)があります。
課題4
→ ヘルスケアサービスには費用対効果の不明確さがあります(費用対効果が見えないと、自治体や保険者からのサービス購入につながりません)。
課題5
→ 単品のサービスとしての差別化、収益化が困難です。課題解消のためには、外部事業者との商品・サービスとの連携が重要になります。
課題6
→ 起業時における支援人材(メンター等)、資金が不足しています。
下図でも分かるように、経済産業省は「健康寿命延伸産業創出推進事業」として取り組んでいます。
志水氏が指摘された課題は、重要な順にならんでいます。また課題は当を得ていると思います。これらの課題をどう解消していくかの手段について、志水氏はいくつかの方法を採り上げておられます。
次回に、課題の深掘りとともに、その対策をご紹介しますね。
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
最近の火・木曜日の「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」の記事は次のとおりです。
・「なぜ、ヘルスケアサービス事業創出なのか?(志水武史氏)」はこちら(10/10)
・「大阪健康寿命延伸産業創出プラットホーム~ヘルスケア業界の今とビジネスプランの基本的な考え方 (志水武史氏)」はこちら(10/5)
土曜日は次のとおり「介護事業者のための会計ハンドブック」を連載しています。
・「介護会計で大切なのは『会計の区分』です。処理ルールは4つあります。」はこちら(10/7)
・「介護会計のルールで大切なのは会計の区分!」はこちら(9/30)
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制度変更により、大きく収入が落ち込んで事業縮小や廃業を余儀なくされるケースを避けるために、制度改定や計数を予測して、事業経営に活用することが大切だと思います。
月・水・金は次のとおり税務の記事を紹介しています。
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社で事業をした場合(法人成り)のメリット」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
日曜日は「2018年3月申告用の所得税確定申告の手引き」