資金ショートを防ぐ、介護事業の開業時運転資金の調達は計画的に。金融機関への説明は合理的に。
火・木・土曜日は、「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」として、記事を紹介しています。土曜日は、前週から〝介護事業者のための会計ハンドブック〟として、経営に必要な会計を分かりやすく紹介しています。
「会計」と言っていますが、要するに「お金の管理」です。
領収書を整理したり、伝票をつくったりすることは、会社にとって必要なことですが、経営者にとって大切なことは、「お金の動きを通して会社の状態を把握し、経営をコントロールする。」ことです。(「起業の技術」浜口孝則:かんき出版)」から)
そういう気持ちで読んでいただきたいと思っています。
第2回目は、初年度の運転資金をどう調達するか?を考えていきます。
前週の土曜日では介護事業の開業時には、運転資金は4月~5ケ月分のお金の用意が必要と紹介しました。
前週の具体例は次のとおりでした。
① 平成29年9月開業
② 収入は介護報酬月額100万円、支出は給料等の経費月額80万円
③ 収入時期は翌々月の25日、支出時期は当月末日
④ 利用者の1割負担は介護報酬に含めています。(分かりやすくするため)
月別資金繰り表は、次のとおりです。
9月から資金ショートします。10月には▲160万円の資金不足になります。最低でも▲160万円+▲80万円=240万円(3か月分)の運転資金が必要になります。
しかし、開業当初から想定どおりの利用者さんを獲得できることは難しいと思います。さらに当面の運転資金(4ヶ月分:80万円×4月=320万円)を準備することをおすすめします。
その不足分(320万円)を資本金(元手)で用意する場合
9月分の不足資金320万円を設立時、あらかじめに資本金で用意していると想定すると、次のような月別資金繰り表になります。
上の資金繰り表を見ていただくと、資金ショートは解消されています。開業の際には、余裕のある資本金(元手)を用意することがベストです。しかし、なかなか手厚い元手を準備することが困難な場合があります。
そうすると、資金を調達(借入)することになります。
9月に金融機関から300万円を借り、9月から毎月10万円ずつ返済することで、月別資金繰り表を検討すると次のようになります。(簡略化のため支払利息は計算に含めません)
資金ショートに陥ることはありません。
ただし、金融機関から運転資金を借り入れる場合は自前の資本金と違って、つぎのようなことに注意することをお勧めします。
資金を調達(借入)の際のチェックポイント
① 運転資金については「いつ必要なのか(時期)」「何のために必要なのか(理由)」「いくら必要なのか(金額)」「なぜ必要になったのか(原因)」を金融機関から聞かれます。
② いつ、何により返済できるのか(返済財源)」を説明する必要があります。
③ 会社が作成した資金繰り表により、一定の時点で運転資金が必要な場合には、金融機関に対して、1か月以上前に融資の申し込みを計画的に進める必要があります。
(上記のチェックポイントは「経営ビジョンを戦略的に実現する介護会計のすべて」C-MAS介護事業経営研究会から)
開業の資金、調達(借入)や資金繰り等の「お金の管理」で、課題や問題をお持ちの開業を準備されている方や準備を検討されている方は、是非、ご相談ください。
一緒に考えさせていただきます。ベストな解決策を検討しましょう。
土曜日は〝介護事業者のための会計ハンドブック〟として、経営に必要な会計を分かりやすく紹介しています。
・「介護事業の開業時には運転資金は4月~5ケ月分のお金が必要?」はこちら(8/19)
「介護事業の基礎知識バージョンアップ編」は、ケアビジネスに関心がある方やこれから介護事業の経営に取り組まれようと考えられている方を対象に、介護事業に関する基本的で重要な事項を紹介する内容にしていきます。
最近の【介護事業の基礎知識バージョンアップ編】の記事は次のとおりです。
「大阪府内の有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等における入居者の介護サービス利用状況の実態調査」はこちら(8/24)
「大阪府内の「サ高住等」は、サービス利用が非常に高い。」はこちら(8/22)
「平成30年度の介護報酬改定まで、あと4か月およびそのスケジュール感」はこちら(8/17)
「特別養護老人ホームの収支差率の推移について」はこちら(8/15)
「収支差率と売上高経常利益率について」はこちら(8/13)
「主な在宅サービスの収支差率について」はこちら(8/12)
月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「会社設立後に必要な手続きと必要な書類」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や贈与税に関する知識」
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