地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の改正~「共生型サービス」の創設(対象者ごとに分かれている制度の課題を解消)
今回からは、改正案のポイントである「地域共生社会に向けた取り組みの推進」を紹介します。
「地域共生社会に向けた取り組みの推進」には次のポイントがあります。
① 共生型サービスの創設
② 有料老人ホームの入居者保護強化
今回は①の「共生型サービスの創設」を紹介します。
共生型サービスとは
介護保険サービスと障害福祉サービスの両方に創設されるもので、高齢者、障害児・者に一体的に通所や短期入所サービスなどを提供できるようにするものです。
具体的には
介護保険法、児童福祉法、障害者総合支援法などを改正し、共生型サービスを提供できる事業者を次のとおり位置づけます。
・ 介護保険法 ⇒ 共生型居宅サービス事業者、共生型地域密着型サービス事業者
・ 児童福祉法 ⇒ 共生型障害児通所支援事業者
・ 障害者福祉サービス事業者 ⇒ 共生型障害福祉サービス事業者
(この部分は日経ヘルスケア4月号から)
現在でも基準該当障害福祉サービス等が活用可能です。
「地域の実情に合った総合的な福祉サービスの提供に向けたガイドライン」が厚生労働省から既に発出されています。(平成28年3月:下図)
そこでは、基準該当障害福祉サービス等※が既に活用可能となっています。
※ 基準該当障害福祉サービス等とは…指定障害福祉サービスや指定通所支援としての基準は満たしていないが、介護保険事業所等の基準を満たす事業所であり、市町村が認めたものにおいては、当該事業者が障害者(児)を受け入れた場合、基準該当障害福祉サービスとして特例介護給付費等が支給できるもの
今回の改正はこれをさらに発展させようとするものです
障害福祉サービス事業所等であれば、介護保険事業所の指定を受けやすくする特例を設けると同時に、逆の特例を設けます。(下図参照)
また平成30年度の介護・障害福祉サービス等報酬改定において
共生型サービスの創設に伴う基準・報酬についての必要な対応を行うほか、事業所の指定手続についても可能な限り簡素化を図ります。
(図は平成29年3月10日開催の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議:厚生労働省老健局」の会議資料から)
介護保険法の改正に関する記事は次のとおりです。
・「介護保険法等の一部を改正する法律案」はこちら(4/29)
・「介護保険法等の一部を改正する法律案」はこちら(5/6)
改正案の「自立支援介護に向けた保険者機能の強化」の記事は次のとおり(①~③)
① 財政的インセンティブの導入について
・「財政的インセンティブの導入」はこちら(6/13)
・「財政的インセンティブの導入~和光市の事例」はこちら(6/15)
・「財政的インセンティブのロールモデルとなった和光市の自立支援」はこちら(6/17)
・「高齢者の自立支援が理念となっている和光市」はこちら(6/20)
・「モデルとなった和光市の徹底した自立支援の意識付け」はこちら(6/22)
・「和光市の地域支援事業」はこちら(6/24)
・「和光市の市町村介護予防強化推進事業」はこちら(6/27)
② ケアマネジメントのあり方の見直しについて
・「2018年4月から居宅介護支援の指定権限を市町村に移管」はこちら(6/29)
・「地域包括支援センターの機能を強化」はこちら(7/1)
・「地域ケア会議におけるケアプラン点検の徹底」はこちら(7/4)
③ 市町村による事業所の指定拒否の仕組みの拡大について
・「市町村による事業所の指定拒否の仕組みの拡大」はこちら(7/6)
・「地域密着型サービスは総量規制の対象になります」はこちら(7/8)
月・水・金は次のとおり税務の記事を
月曜日は「マイホームの税金の手引き」
水曜日は「個人事業と会社で事業をした場合、税金はどう違う?」
金曜日は「いざそのときにあわてないための相続税や相続に関する知識」
火・木・土曜日は、介護事業についての記事のうち、しばらくは介護保険法の改正にかかわる記事を紹介しています。
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